詩の原野

いろんな人の詩心の原野に迷いこみたい

第三芸術

ごあいさつ 芸術を考えていて宮澤賢治の詩「第三芸術」と出合った。これをこのブログ始めのご挨拶代わりとして挙げさせていただきます。賢治のは世間の第三芸術と異なるとお思いの方もいらっしゃるようですが、(発表の順という事にして)私は賢治の第三芸術論…

おむすびころりん

宮澤賢治の詩「第三芸術」にお伽噺「おむすびころりん」を想った。人はそれぞれだし、入り口は無数にあるでしょう。おむすびころりんは「高いところからどんどん転がり落ちるおにぎりを追っかけていった先は地獄だった」という設定はどなたもご存知のとおり…

落葉松に青

入りゆくや落葉松未知の青籠めて 橋本多佳子 (いりゆくやからまつみちのあおこめて) 落葉松(からまつ)の道を入って往く影ありそこは近づく人など滅多にいなかった林の筈男は落葉松の一本一本を確かめるように歩くそして寂しい・寂しいと口遊んでいるよう…

花しどみ

花しどみ老いしにあらず曇るなり 橋本多佳子 (はなしどみ おいしにあらずくもるなり) 第五句集・遺句集「命終」の冒頭句。この句集には昭和三十一年五月から昭和三十八年三月までの凡そ七年間に詠まれた句が載せられているようです。花しどみを知らない私…

一処一情

ご遺族が折角出してくださった「橋本多佳子全句集」なのに殆んど読めないままに済ませては勿体ない。多佳子の師・山口誓子の解説を読み、小池昌代氏のエッセイに目をとおし、橋本多佳子の句・句誌への想いにも触れることができた。そう思っても精力と生涯を…

多佳子の座

あぢさゐの夕焼天にうつりたる 橋本多佳子 (あじさいの ゆやけたかくに うつりたる) 「夕焼天」をどう読もうか迷ったが、今もまだ迷っている気持ちがある。これは小池昌代氏の読みかたを知りたいと思うも、氏の都合はある筈だし・やっぱり自分なりの理解で…

長谷川かな女

(ここでは直前の記事で触れた長谷川かな女を述べる)生涯の影ある秌の天地かな 長谷川かな女(しょうがいのかげ あるあきのてんちかな) 「生涯の影ある / 秌の天地かな」とも読めますが‥「生涯の影 / ある秌の天地かな」と読ませていただきます。 (句意)…

他人ごと? 私ごと?

近代俳句の創始者・正岡子規の次の句は夙に知られるが、どういう訳か誰一人も歯切れ好く説明デキないのはどうしたことか?それでここに今回取上げた。 鶏頭の十四五本もありぬべし 正岡子規 素人や新人が分らないのは教わった記憶がないからであれば仕方ない…

芭蕉・蕉門の目的地㊦

タテの繫がりとかヨコの繫がりとか云うがワケの分らん中途半端な文章が多いなか、臨床心理士はさすが分りやすい文章をお書きだと想わせられて、氏の知恵をお借りする。臨床心理士・中島美鈴氏の記事の概要。仕事は「タテ」の関係・プライバシーは「ヨコ」の…

芭蕉・蕉門の目的地㊥

情報化が進んだ現代世界で情報の温存を図る努力は徒労に終わりそうだ。仮に内緒の貯金を人知れず遺して、それでこの貯金でほくそ笑むのは誰?笑 情報=お金。狡い誰かがあなたの情報を盗もうとしている。私なら知識・情報を公開する。あなたにも公開をお勧め…

奥の細道の決意

※芭蕉・蕉門の目的地㊤の記事途中から飛んできております 草の戸も住み替はる代ぞ雛の家 松尾芭蕉(くさのとも すみかわるよぞ ひなのいえ) 桃の節句ということでこの句を想い起したが、もしかして芭蕉の想いが私にのり移ったのだろうか‥と観察するに桃の節…

芭蕉・蕉門の目的地㊤

俳聖・松尾芭蕉とは何なのか‥ 古池や蛙飛こむ水のおと 松尾芭蕉 下京や雪つむ上の夜の雨 凡兆 病鳫の夜寒に落ちて旅寝哉 松尾芭蕉 旅に病んで夢は枯野をかけ廻る 松尾芭蕉 芭蕉を考えるとき、私は上の四句を無視できない。四句の記事は以前にも書いたが、古…

剣豪修業の海彦時代かも

橋本多佳子の句集『海彦』から二句を読ませていただきます。この「海彦」には多佳子56歳頃から61歳頃に詠まれた句が並んでいる。初版「海燕」の句が41歳頃までの10年ほどに詠まれたようで、30歳前後で本格的に俳句と取組んだことになりそうだ。 図書館から借…

ある時は教師妻

人の多くは様々な容(かたち)の衣裳に身を包む。TPOに合わせて好みの衣裳に着替えもする。他者を見るときは好みの衣裳を見たくなり・己もまた好みの衣裳にやつしてみせる。見られる側も見る側も時・所・状況に合わせて好みの衣裳を身に纏(まと)う。じっさい私…

久女のため

つぎつぎに菜殻火燃ゆる久女のため 橋本多佳子 (つぎつぎにながらびもゆるひさじょのため) 多佳子が個人名を挙げて詠んだ句を私は他に知らない。それほど多佳子にとっての杉田久女は重い存在だったと感じる。平凡な愛を大切に過ごしたかっただろう久女。そ…

万緑やわが額にある

万緑やわが額にある鉄格子 (読み方:ばんりょくやわがぬかにあるてつごうし) 世間に流れているフレーズ「他人の不幸は蜜の味」を思いだして検索、前向きな意見に出合えて幸いでした。橋本多佳子も私と変わらない感覚だってことはこの俳句に顕われている。…

乳母車夏の

乳母車夏の怒涛によこむきに 橋本多佳子 橋本多佳子を知ることが出来たのは「近代俳人」に載った上野さち子氏の短い記事のお陰。そのときの何気なしに読んだ短い文章までは憶えていないが、その文がなければ私が多佳子に惹かれることは無かっただろうし、以…

狐啼く夜

母と子のトランプ狐啼く夜なり 橋本多佳子 みんなもご存知でしょう? 参加者全員でカードを分け合って、そのなかにババ(=ジョーカー)が入ってるの。ババはペアを組めないから場に晒(さら)すことが出来ず、それなら最後まで持っててドン尻になるか、あるいは…

雪の日の浴

(当面は大好きな俳句に寄せる私の想いを載せてまいります) 雪の日の浴身一指一趾愛し 橋本多佳子 雪の日の浴に、穢されてならない身と心と雪とが一つに重なった気がいたします。身一指一趾・・・身体もですが、手足の指や踝(くるぶし)の隅々まで丁寧に浄め、同…

ごあいさつ

ブログを再開致します。当面は「詩」について考えてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。<(_ _)>