落葉松に青
入りゆくや落葉松未知の青籠めて 橋本多佳子
(いりゆくやからまつみちのあおこめて)
落葉松(からまつ)の道を入って往く影あり
そこは近づく人など滅多にいなかった林の筈
男は落葉松の一本一本を確かめるように歩く
そして寂しい・寂しいと口遊んでいるようだ
その声に羽が生える・悲しい詩となって飛ぶ
そうかあ、男は悲しみの詩を詠む詩人なんだ
少しばかり遅れて落葉松林に女がやってきた
そして呟く。そうなのか、彼女も詩人なのか
耳を澄まして静かに彼女の詩を聴いてみよう
淋しがってるって聞いてたけど違うみたいね
仲間が集まって落葉松の林になってるみたい
それに小道の先に希望がいっぱい見えてるよ
同じ景を観てる筈なのに多佳子は強いよね?
どうしてそんなに明るく温かい詩になるの?
ほんと不思議だね。あなたはどう思います?