第三芸術
ごあいさつ
芸術を考えていて宮澤賢治の詩「第三芸術」と出合った。これをこのブログ始めのご挨拶代わりとして挙げさせていただきます。賢治のは世間の第三芸術と異なるとお思いの方もいらっしゃるようですが、(発表の順という事にして)私は賢治の第三芸術論でいきます。訂正は直ぐにできますから賢治より先に発表した記事があれば教えてくださると有難くぞんじます。
第三芸術
蕪のうねりをこさえていたら
白髪あたまの小さな人が
いつかうしろに立っていた
それから何を蒔くかときいた
赤蕪をまくつもりだと答えた
赤蕪のうね かう立てるなと
その人はしづかに手を出して
こっちの鍬をとりかへし
畦を一とこ斜めに掻いた
おれは頭がしいんと鳴って
魔薬をかけてしまはれたやう
ぼんやりとしてつっ立った
日が照り風も吹いていて
二人の影は砂に落ち
川も向ふで光っていたが
わたしはまるで恍惚として
どんな水墨の筆触
どういふ彫刻家の鑿のかほりが
これに対して勝るであらうと考えた
(宮澤賢治)
この記事は「おむすびころりん」へ続きます