詩の原野

いろんな人の詩心の原野に迷いこみたい

狐啼く夜

 

母と子のトランプ狐啼く夜なり 橋本多佳子

 

みんなもご存知でしょう? 参加者全員でカードを分け合って、そのなかにババ(=ジョーカー)が入ってるの。ババはペアを組めないから場に晒(さら)すことが出来ず、それなら最後まで持っててドン尻になるか、あるいはババを誰かに持ってかせるか、だよね。

この句、母子3人でゲームしたのだろうな。だれもが「ババなんか持ってないよー」って顏するのだけどババを引いてもらったほうは思わずニンマリしてしまう。トランプ遊びはいっぱいあるけど、ババ抜きがイチバン興奮した(私の経験では⋯ですけれど)。

勝負となると母も子も遠慮なしだよ。何がナンでも上手に騙(だま)して勝たなきゃなるまい!3人とも狐になってしまってキャンキャン吠えたり悲鳴をあげたり笑ったりの騙しっこ。賑やかに騒いだ想い出は私にもあって、それで人生に飽きがこないのかも。

多佳子は忙しい日々のなかから時間をつくって娘たちに楽しい時間を贈ったのでしょうね。この句も破調になってる。お上品に楽しむのでなく、騙しもアリだから楽しいよね。5・7・5に囚われてると「トランプ狐って何のこと?」ってなってしまう。

 

 

母と子のトランプ狐啼く夜なり

最終更新:  hasimototakako2 2008年12月14日(日)

 

インターネットで見つけた句、於多福姉はもう最高に好きです。

この夜は、親子水入らずでトランプを楽しまれたのでしょうね。

ポーカー?七ならべ?やっぱり「ババ抜き」が面白いですよね!!

こわいよぉ、こわいよぉ、きゃっ!出たぁ~、わいわい騒ぐの。

母親と楽しく遊んだ想い出は誰にとっても絶対忘れられません。

思いっきり遊んだ母親の笑い声は今でも懐かしく甦りますもの。

橋本多佳子様のやさしい心が溢れ出ているのが見えるようです。